季語や時候の挨拶は、その時々の気候に合わせたものを使い
かしこまった手紙やビジネスに使います。
実際文章を作るのに、
今の時期って何を使えば良いの?
・・・という程たくさんの言葉があります。
その中で「薫風の候」という言葉があります。
薫る風ってなに?
今回は、この時候の挨拶について詳しくお話しようと思います。
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薫風の候の意味や由来は?時期は何月ごろ?
”薫風”読み方はわかりますか?
「くんぷう」と読みます。
あまり聞き慣れませんが、
なんだか風が薫る季節を意味するのだな
・・・と漢字からみてとれます。
「薫風」は俳句では夏の季語として属し、
5月に使われる言葉です。
意味は広辞苑などでは、
南風、温和な風。かんばしい風、南薫。
青葉の香りを吹きおくる初夏の風。薫る風
などとあります。
都会でも木々の多い場所なら梅雨が明けて
気温も高まり、温かな風に乗って緑の香りが漂う
そんな季節にとてもぴったりな季語だと思います。
そこに「~候」を付け時候の挨拶として使うと
かしこまった手紙の
冒頭の挨拶へと使う事が出来ます。
なお「~の候」は”今の季節”という意味です。
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薫風の候と晩春の候との違いは?
薫風を使う5月には、
晩春という言葉も同じくあります。
「じゃあ、使ってもおかしくないんだ」
と思う前に少し考えましょう。
『晩春』とは春ももう終わりの時期。
”初春・仲春・晩春”と分け、
晩春は旧暦の3月、
二十四節気では清明から立夏の前日までを指します。
立春を迎えてしまえば暦の上では夏、
初夏となるので、5月に晩春を使う場合は、
5月1日~5月5日頃までとなり、
5月中にずっと使えるものではない
ということがわかります。
薫風の候の他の使い方は?
ちょっと面白いものを見つけました。
「薫風自南来(くんぷうじなんらい)」
って言葉をご存知でしょうか?
なおの事聞き慣れない言葉だと思います。
禅語なので聞き慣れなくて
当然なのかもしれません。
禅語は、禅宗の文献に出て来る言葉をいい、
短い言葉に禅の心が所々と登場します。
初めは唐の文宗皇帝が詠んだ漢詩にて
季節を表した詩の一説であり、
時代を経て宋の時代になり、
”圜悟克勤禅師”という方が
禅問答の際に取り上げた
「碧巌録」という本を残した事で
現在まで禅語として知られる事になった様です。
「薫風自南来」と禅とのこんなお話・・・。
ある僧が雲門禅師に
「悟りの境地とは?」
と問いたところ、
「東山水上を行く」
と答えました。
どんな意味?と思いますよね。
「山が水の上を流れている」という解釈の様です。
これに対して圜悟禅師はさらに
「薫風自南来 殿閣生微涼」
と答えたのです。
解釈は、南からの爽やかな風により、
宮殿の奥まで清々しい涼味を感じる。
禅の世界は奥が深いもの。
そして禅語の解釈は人それぞれ異なりますが、
悟りの境地は精神の清らかさなど
視覚・嗅覚・聴覚だけで感覚的に感じるだけでなく、
心で感じる事、生き様
かなぁとも思いました。
薫風の様な温かく爽やかな人となり
生きて行けたら素敵だなと思う言葉に出会いました。
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